美しい髪のため、お手入れ方法やヘアケア製品などにこだわっている方は多いかと思いますが、髪の仕組みについてはいかがでしょうか?
髪の構造や、髪が生える仕組みについて、正しく理解していますか?
髪の仕組みを知ることは、健康な髪を維持するための大切な知識。自分の髪にどのようなケアが必要なのかを見極めるためにも必要な基本の知識です。
この記事では、髪の構造や髪が生える仕組み、さらに髪の生え方に悪影響をおよぼす原因についてもお伝えします。
意外と知らない?「髪の構造」
髪は表面のキューティクル、中間のコルテックス、中心のメデュラの3層構造からなります。
キューティクルは有名ですが、コルテックスやメデュラについては知らない方が多いかもしれませんね。
お寿司のかんぴょう巻きをイメージしてみてください。
- 中心のメデュラがかんぴょう
- コルテックスがシャリ
- キューティクルが海苔
まずはこの3層それぞれの特徴について見ていきましょう。
髪のバリア「キューティクル」の特徴
キューティクルの役割
みなさんご存知のキューティクル。髪の表面を覆い、中間部のコルテックスに含まれるタンパク質や水分の流出を防ぐ働きがあります。
キューティクルの形状
無色透明の角化細胞でうろこ状の形をしています。根元から毛先に向かって4~10枚が重なり層をつくり髪を保護していますが、毛先に近づくほど層は薄くなります。
キューティクル同士は細胞膜複合体(CMC)によって接合されています。CMCにはMEA(18-メチルエイコサン酸)という脂質成分があり、髪表面の摩擦による刺激を抑え、まとまりを良くする働きがあります。
キューティクルの性質
主成分はケラチンタンパク質で硬さがある一方で、濡れると柔らかくなり、脆くなるのも特徴です。そのため濡れた状態だと、キューティクルが壊れたり剥がれたりしやすくなります。
1枚のキューティクルも3層構造になっていて、外側のエピキューティクル、中間的のエキソキューティクル、内側のエンドキューティクルからなります。エンドキューティクルは水やアルカリ性と親和性があり、髪を濡らすとエンドキューティクルが膨らみ外側に反り返りやすくなるのが特徴です。
シャンプー後に髪にきしみを感じるのは、キューティクルが反り返り開いた状態になっているから。キューティクルが開いているので、内側の水分やタンパク質も抜けやすい状態です。コンディショナーやトリートメントでキューティクルを閉じ、さらにドライヤーで乾かすことでキューティクルのダメージを最小限に留めることができます。
髪質はここできまる!「コルテックス」の特徴
コルテックスの役割
コルテックスは髪のおよそ9割を占める、根幹ともいえる部分です。タンパク質、水分をはじめ、メラニン色素もコルテックスに含まれます。
つまり、髪の色や弾力性、太さなどは全てコルテックスの質で決まると言えるのです。コルテックス細胞間の細胞膜複合体(CMC)にもタンパク質や水分、脂質などが含まれていて、これらも髪の弾力に影響します。
コルテックスの形状
髪の根元から毛先に向かって、繊維状の束が縦に並んだ状態で構成され、コルテックス同士はCMCによって接合されています。
ヘアカラーやパーマでは、薬剤をコルテックスに作用させることで形を定着させたり、色を変えたりします。施術や日々のケアでコルテックスのタンパク質が溶けだすと、髪の弾力が失われる原因になります。
謎も多い!?「メデュラ」の特徴
メデュラの役割
メデュラの働きは、実はまだよくわかっていません。一説では、メデュラ細胞が空気を含むことで、断熱効果があるのではないかと考えられています。
メデュラの形状
髪の芯にあたる部分で、空気を含んだハチの巣状の細胞から構成されています。メデュラの材質は非ケラチンタンパク質で柔らかいのが特徴です。メデュラが太い場合は、髪も太くなる傾向があります。
メデュラの形状は髪によってさまざま。メデュラが全くない髪もあれば、1本の髪の中でも途中で途切れている場合もあります。細い髪にはメデュラがないことが多く、赤ちゃんの髪やうぶ毛にはメデュラはないのです。
髪が生える仕組み
頭に生えている髪、いったい何本あるかご存知ですか?その数、平均でなんと10万本!
1日約0.35㎜、1か月で約1㎝伸びると言われています。
髪は毛穴の奥にある毛母細胞で髪で生まれ、毛乳頭から栄養をとり込んで成長します。毛母細胞と毛乳頭を包む毛包も、髪の成長ととも大きくなります。
正常なヘアサイクル
1本の髪の寿命は4~6年ほど。
髪が生えて成長し→成長が止まり抜け落ち→次の髪が生える。この繰り返しをヘアサイクルと呼びます。
ヘアサイクルが正常な場合は、下記を繰り返します。
初期成長期:新しい髪が生まれる
中期成長期:髪が太く長くなってくる
後期成長期:髪の成長の最盛期、もっとも太く長くなる
退行期:髪の成長が止まり、毛包が小さくなりはじめる
休止期:髪の成長が完全に止まり、抜け落ちる
ここに注意!ヘアサイクルに異常が起きる原因5つ
髪のヘアサイクルは1本1本違うので、全ての髪が一気に抜け落ちることはありません。ヘアサイクルが正常な場合も、1日に50~120本の髪が抜け落ちます。この範囲なら、まったく問題はありません。
しかし、抜け毛が増え薄毛が気になり始めたら要注意!ヘアサイクルに異常が起きて、髪の成長期が短くなったり、休止期間が長くなったりしているかもしれません。
ヘアサイクルに異常が起こる5つの原因について見ていきましょう。
原因①シャンプーによる毛穴詰まり
髪をきれいにするためのシャンプーが、まさかヘアサイクルを乱す原因になるなんて、ちょっと信じられないですよね…。でも、これは事実です。シャンプーは毛穴詰まりを引き起こし、ヘアサイクルを乱す原因になる可能性があります。
シャンプーは頭皮に残ると皮脂と混ざり、毛穴詰まりを起こしやすくなります。毛穴がふさがれると、髪の成長が妨げられるので、髪にうねりが出たり、しっかり生えられずに細毛になったり、最悪の場合は全く髪が生えなくなってしまうこともあります。
特にシリコン配合のシャンプーは、シリコン剤が頭皮に張り付きやすいので注意が必要です。毎日使うからこそ、シャンプー選びは慎重に行いましょう!
原因②強いストレス
強いストレスは急激な抜け毛や円形脱毛症の原因になります。実際、新型コロナウィルスによるパンデミック以降、抜け毛の悩みを訴える人は世界中で増えています。
ストレスの影響で問題なのが、活性酸素が増えることです。ストレスによって血流が悪くなると血流を戻そうとしますが、この時に発生するのが活性酸素です。活性酸素は細胞を酸化させ老化の原因にもなる成分。ストレスで血流が悪くなり髪に栄養が届きにくいうえに、活性酸素も増えるので髪の成長が妨げられてしまうのです。
最近、抜け毛が増えたという人は、コロナの影響で、気づかない内にストレスがたまっているかもしれません。
原因③運動不足
運動不足は頭皮の血行不良を招き、ヘアサイクルに異常を起こす原因になります。一見、関係が無いように見えますが、血液は全身を巡るので運動不足で血行が悪くなると、髪の成長にも影響がおよびます。
特にコロナ禍では、在宅ワークで体を動かす機会が減ったことに加えて、長時間座って作業をするために、肩や首に傷みや疲れを感じる人が増えました。その結果、頭皮の血流も悪くなり抜け毛の悩みを抱える人が増加しているのです。
ストレス解消にもなりますし、ぜひ適度な運動を心がけましょう。
原因④栄養の過不足
栄養は多すぎても、少なすぎてもダメ。どちらも健康な髪は育ちません。特に、次のような要素はヘアサイクルの異常を招くので気をつけましょう!
過度なダイエット
過度なダイエットで栄養不足になると、ヘアサイクルが乱れます。特にたんぱく質は髪の主成分となる、大切な栄養分。たんぱく質が不足して髪に栄養が届かないと、成長がストップして、そのまま抜け落ちてしまう恐れも!
また極端なダイエットで拒食症になると、髪が細く波状毛のようになりクセが出てくることもあります。
栄養過多
栄養過多な食事を摂ると皮脂が増えるので、毛穴がふさがれ髪が生えにくい状態に。ヘアサイクルを乱し、抜け毛の原因になります。
さらに、高脂質の食事は血管を詰まらせて、血流を妨げる原因にもなります。そのうえ、消化にも時間がかかるので胃や腸に血液が集中し、頭皮に新鮮な血液が届きにくくなります。その結果、髪の成長が妨げられてしまうのです。
原因⑤紫外線
強い紫外線をあびると、頭皮が酸化して固くなります。柔軟性が失われた頭皮からは、健やかな髪が生えられずに細毛となっていきます。
頭皮は髪に隠れているので見落としがちですが、体の中でもっとも太陽に近く、日焼け止めも塗れないので、紫外線のダメージを受けやすい部分。肌と同じく紫外線対策がとても大切です。
まとめ
髪の構造や髪の生える仕組みを知ると、健康な髪のために必要なことが見えてきます。
健やかな髪を育てるために、頭皮の環境を整えて、髪に栄養を行き渡らせましょう。髪には関係なさそうな運動や食事などの生活習慣も、実は髪の成長につながっています。そしてもちろんシャンプーも頭皮の健康に直接関係する大きなポイント。
生活習慣を見直し、正しいヘアケアをすることが健やかな髪を作る秘訣です。